電験三種を取得し、実務経験を積んできた方なら、一度は「電験二種」へのステップアップを考えたことがあるのではないでしょうか。しかし、ネット上でよく目にするのが「二種は難しすぎる割に給料が上がらない」「コスパが悪い」というネガティブな意見です。

確かに、電験二種の難易度は三種とは桁違いです。二次試験の論述や計算問題に心が折れそうになることもあるでしょう。しかし、本当にそれに見合うリターンはないのでしょうか?結論から言うと、適切な環境(企業)を選べば、電験二種は「極めてコスパの良い自己投資」になります。

この記事では、取得にかかるコストと、実際に得られる金銭的・キャリア的なリターンを徹底比較し、その真価を検証します。

なぜ「コスパが悪い」という噂が流れてしまうのか

火のない所に煙は立たないと言いますが、なぜこれほどまでに「二種はコスパが悪い」と言われるのでしょうか。その最大の理由は、評価制度が古いままの企業が存在するからです。

苦労して二種を取得しても、今の会社で「資格手当が月額2,000円増えただけ」だったり、「扱う設備が三種で十分な範囲だから仕事内容は変わらない」という状況であれば、確かにコスパは最悪だと感じるでしょう。

しかし、これは資格自体の価値が低いのではなく、その価値を活かせる場所にいないことが問題なのです。特別高圧(特高)設備を保有する大規模工場や、再エネ発電所を運営する企業に目を向ければ、評価は一変します。まずは「場所によって価値が変わる」という前提を理解しておきましょう。

投資コストの現実を直視しよう(勉強時間と労力)

リターンを語る前に、まずは支払うべき「コスト」について冷静に見てみます。電験二種の取得には、どれくらいの投資が必要なのでしょうか。

※以下は、一般的な学習負荷や試験制度の違いを整理した目安です。

項目電験三種電験二種コスト倍率
目安勉強時間数百〜1,000時間程度三種の勉強時間に、追加で数百〜1,000時間以上約2倍以上
試験制度マークシートのみ一次(マークシート) + 二次(記述式)難易度激増
必要な数学力高校数学基礎微分積分、ラプラス変換など(制御工学の基礎理解)理工系基礎レベルの理解
精神的負担過去問暗記で対応可能な部分あり本質的理解がないと記述できない高負荷

こうして見ると、確かにコストは甚大です。三種合格者がさらに1年以上、休日を返上して勉強する必要があります。記述式試験のプレッシャーも相当なものでしょう。「中途半端な覚悟ならやめておけ」と言われるのも納得のハードルです。

回収できるリターン1:待遇・年収面で広がる選択肢

では、この甚大なコストに見合うリターンはあるのでしょうか。まず分かりやすい指標として、「待遇や年収面」での変化を見てみましょう。

電験三種を活かした求人では、数百万円台を中心とした年収条件が提示されるケースが多く見られます。一方で、電験二種保有者向けの求人では、三種と比べて高めの年収条件が提示されるケースもあります。

特別高圧設備を扱う現場や、より責任の大きなポジションでは、資格や経験が評価されやすく、待遇面で有利な条件が提示されることもあります。

こうした違いは、単純な年収額だけでなく、担当できる業務の幅や役割、キャリアの選択肢の広がりとして表れる点が大きな特徴です。長期的に見れば、電験二種の取得がキャリア全体の価値を押し上げる要因になる可能性は十分にあると言えるでしょう。

回収できるリターン2:再エネ分野で高まる希少性

金額以上のメリットとして見逃せないのが、「希少性」です。現在、太陽光や風力などの再生可能エネルギー発電所が急増していますが、大規模なメガソーラーの多くは「特別高圧(特高)」で連系されています。

この特別高圧設備(高電圧設備)の電気主任技術者として選任されるためには、電験二種または電験一種の資格が必要とされています。しかし、電験二種の保有者は、三種と比べて数が限られているとされ、条件や地域によっては、求人ニーズが高い状況が見られることもあります。

  • 三種の世界: 多くのライバルとしのぎを削る競争市場
  • 二種の世界: 企業側が積極的に採用活動を行っている売り手市場

この「選ばれる側」から「選ぶ側」へのシフトチェンジこそが、二種取得の最大の醍醐味かもしれません。リストラの不安とは無縁の、強力なキャリアパスを手に入れられます。

回収できるリターン3:現場作業からの脱却とキャリアの質

働き方の質が変わるという点も大きなリターンです。三種の範囲では、自ら工具を持って点検や工事を行う「現場作業」がメインになることが多いですが、二種が必要な規模の現場では、現場作業に加えて、管理・調整業務の比重が高まる傾向があります。

部下や協力会社を指揮し、保安規定の策定や行政との折衝、大規模修繕の計画立案など、より上流工程の業務を任されるようになります。体を使う仕事から頭を使う仕事への転換は、年齢を重ねて体力が落ちてきた時のリスクヘッジにもなります。

「一生現場で走り回るのはきついかな」と感じている方にとって、二種は管理・計画・判断を担う立場を任される可能性が広がる資格と言えるでしょう。

迷っているなら挑戦する価値は十分にあります

「二種はコスパが悪い」という言葉は、適切な環境を選べなかった人の嘆きか、あるいは競争相手を増やしたくない人のポジショントークかもしれません。

確かに取得までの道のりは険しく、多大なコストがかかります。しかし、それを乗り越えた先には、三種だけでは決して到達できないより良い待遇と、安定したステータスが待っています。現状維持で終わるか、それとも一段上の景色を見に行くか。もし迷っているなら、勉強を始めてみる価値は間違いなくあります。あなたの市場価値を劇的に変えるカードは、その手で掴み取ることができるのです。


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