電験三種(第三種電気主任技術者)は、合格率が10%前後とも言われる難関資格として知られています。そのため、「試験勉強がハードルになっている」「計算問題で途中で諦めてしまった」という方も少なくありません。
実は電験三種には、国家試験に合格する方法のほかに、認定校での所定科目の修了と実務経験を満たした場合、試験合格を経ずに免状が交付される制度が設けられています。これが一般に「認定取得制度」と呼ばれているものです。
これは裏技や特例ではなく、電気主任技術者免状交付省令・省令運用要領に基づく制度です。電気事業法を基礎法としつつ、免状交付の要件として認定校卒業と実務経験が認められる運用が定められています。
もちろん、誰でも対象になるわけではありません。学歴や実務経験など、明確な要件が定められており、制度を正しく理解することが重要になります。
この記事では、電験三種の認定取得制度について、「どんな人が対象になるのか」「どのような手続きが必要なのか」といったポイントを整理しながら、条件や申請の流れを分かりやすく解説していきます。
認定取得という選択肢|制度の基本を理解しよう
電験三種(第三種電気主任技術者)は、通常、年に2回実施される国家試験に合格することで取得する資格です。一方で、電気事業法ではもう一つの取得方法として、経済産業大臣の認定を受けることで免状が交付される「認定取得制度」が定められています。
この認定取得制度は、いわゆる特例や裏技ではありません。電気に関する専門的な教育を受け、一定期間の実務経験を積んだ人について、試験合格者と同等の知識・能力を有すると国が判断した場合に認められる、正式な資格取得ルートです。試験合格と認定取得、どちらで取得しても免状の効力は全く同じです。
法律上も、両者の間に優劣や区別は設けられておらず、業務上の扱いは同一です。そのため、これまでの学歴や実務経験が制度の要件に該当する場合には、認定取得という選択肢を検討する価値があると言えるでしょう。
認定取得に必要な2つの条件を確認しよう
では、どのような人が電験三種を認定取得できるのでしょうか。大きく分けて「学歴」と「実務経験」という2つのハードルをクリアする必要があります。重要なのは、この2つが「いずれか」ではなく、「両方」求められる点です。
まず学歴要件として、経済産業大臣が認定した学校(いわゆる認定校)において、所定の電気系科目を修めて卒業していることが求められます。具体的には、工業高校の電気科や、大学・高専の電気系学科などが該当します。
次に実務経験要件として、電気工作物に関する一定年数以上の実務経験が必要です。必要な年数は、最終学歴や修了した課程によって異なり、卒業後に従事した電気保安や設備管理などの業務内容が判断の対象となります。
「自分は文系出身だから対象外だろう」と考える方もいますが、過去に電気系学科を卒業していたり、認定校で必要な科目を修了していた場合には、条件に該当する可能性もあります。まずは自身の学歴と実務経験を整理し、制度の要件に当てはまるかを確認することが、認定取得への第一歩になります。
学歴によって変わる必要な実務経験年数
電験三種の認定取得に必要な実務経験年数は、最終学歴によって異なります。これは学力の優劣ではなく、在学中に履修している電気系科目の範囲や専門性を考慮した制度設計によるものです。
| 最終学歴(認定校) | 必要な実務経験年数 |
| 大学(電気系学科) | 1年以上 |
| 短期大学 | 2年以上 |
| 高等専門学校(高専) | 2年以上 |
| 高等学校(工業高校など) | 3年以上 |
※実務経験年数の区分は各産業保安監督部の運用例として「大学:1年以上、短大/高専:2年以上、高校:3年以上」とされていますが、詳細は担当監督部に確認してください。
ここで注意したいのは、「認定校を卒業していること」と「所定の電気系科目を修了していること」の両方が必要になる点です。単に学校を卒業しているだけでは、認定取得の対象にはなりません。所定科目には、電気理論・電力・機械・法規などが含まれており、在学中にこれらの単位をすべて修得していることが条件となります。
「自分の学校は認定校かな?」と気になった方は、母校に問い合わせるか、経済産業省のウェブサイトで確認してみると良いでしょう。制度を正しく理解したうえで、自身の学歴と履修状況を一度整理してみることが重要です。
実務経験として認められる業務と注意点
認定取得において、もう一つ重要な確認ポイントとなるのが、「どのような業務が実務経験として認められるのか」という点です。
実務経験は、単に電気に関わる仕事をしていればよいわけではありません。電験三種の認定取得では、原則として、電圧500ボルト以上の電気工作物に関する工事・維持・運用に携わった経験が求められます。
実務経験として認められる主な業務例
- 発電所、変電所、工場、ビルなどの電気設備の維持管理
- 500ボルト以上の電気工作物の設置や改造工事の設計・施工管理
- 電気主任技術者の指導のもとで行った点検・測定・保守業務
認められない、または対象外となる可能性が高い業務例
- 一般住宅の屋内配線工事(100V/200V)のみの経験
- 学校での教員としての経験(実設備の保安・管理を伴わない場合)
- 電気設備に直接関与しない監視業務や、事務作業のみの業務
これらの業務は、電圧要件や保安判断を伴う実務に該当しないため、認定取得の実務経験として認められないケースが多くなります。
自身の業務内容が要件を満たしているか判断が難しい場合は、申請前に管轄の産業保安監督部へ相談することが重要です。事前に確認しておくことで、申請後に「実務経験が対象外」と判断されるリスクを避けることができます。
申請から免状交付までの5つのステップ
認定取得の条件を満たしていることを確認できたら、次は申請手続きに進みます。認定取得は、試験とは異なり、提出書類の内容や正確さが結果を左右する制度です。ここでは、申請から免状交付までの一般的な流れを整理していきます。
ステップ1:必要書類の準備
- 卒業証明書
- 単位取得証明書
- 実務経歴証明書
特に単位取得証明書は、学校によって発行までに時間がかかる場合があります。申請を検討し始めた段階で、早めに手配しておくことが重要です。
ステップ2:実務経歴証明書の作成
申請手続きの中で、最も重要となるのが実務経歴証明書です。いつ、どの事業所で、どのような電気設備を対象に、どのような業務に携わったのかを具体的に記載する必要があります。
- 設備の種類(電圧・用途)
- 業務内容(点検・管理・判断など)
- 従事期間
内容は勤務先の確認を受ける必要があり、代表者印などの押印が求められるのが一般的です。
ステップ3:産業保安監督部への提出・事前確認
書類が揃ったら、管轄の産業保安監督部へ提出します。多くの場合、正式受理の前に内容確認が行われ、不備や修正点について指摘を受けることがあります。
ステップ4:面接審査
書類審査後、産業保安監督部の判断で面談や口頭確認が実施される場合があります(必須ではない場合もあります)。認定取得は書類のみで完結する制度ではなく、電気の基礎知識や実務内容について口頭で確認されます。
ステップ5:認定書の交付と免状申請
面接審査に合格すると、経済産業大臣名の認定書が交付されます。この認定書をもとに免状交付申請を行うことで、電験三種の免状が正式に交付されます。
認定取得のメリットとデメリットを比較しよう
認定取得は、試験を受けずに電験三種を取得できる制度ですが、すべての人にとって最適な方法とは限りません。試験ルートと同様に、メリットとデメリットを理解したうえで、自身に合った取得方法を選ぶことが重要です。
- メリット:
- 学科試験や計算問題に取り組む必要がない
- 一度免状が交付されれば、更新の必要がなく生涯有効な資格となる
- 実務経歴証明書などを通じて、自身の実務経験を客観的に整理・証明できる
- デメリット:
- 実務経歴証明書をはじめとする書類作成に時間と手間がかかる
- 書類審査に加えて、面接による確認が行われる
- 実務経験の証明にあたり、勤務先の協力(押印など)が必要になる
特に、書類準備や関係先との調整に一定の期間を要する点は、認定取得ならではの負担と言えるでしょう。「試験勉強に時間を割くか」「書類作成や手続きを進めるか」。どちらが自分の状況や経験に合っているかを整理したうえで、取得ルートを検討することが大切です。
制度を活用して広がるキャリアの選択肢
電験三種の認定取得は、決して簡単な制度ではありません。しかし、これまで現場で積み重ねてきた実務経験や、学生時代に身につけた電気の知識を、正式な形で評価してもらえる制度でもあります。
試験という一つの方法に限らず、認定取得という別の選択肢が用意されていることは、電気主任技術者を目指す人にとって大きな意味を持ちます。自身の経歴や強みを見直し、制度を正しく理解したうえで挑戦することで、資格取得への道はより現実的なものになるでしょう。電験三種の免状を取得すれば、電気主任技術者としての独占業務に携わることができ、担当できる仕事の幅や役割も広がります。
それは、キャリアの安定性や評価の向上につながる可能性を持った選択です。これまで積み上げてきた経験を、次のステージへつなげるために。認定取得という制度を、キャリアを考える一つの選択肢として検討してみてはいかがでしょうか。
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