「このまま定年まで会社員でいいのだろうか」
「もっと自由に、自分らしく働く道はないのか」
そんな気持ちを抱えながらも、行動には移せないまま、日々の業務に追われていませんか?

働き方が多様化するいま、電気主任技術者にも“フリーランス”という選択肢が現実味を帯びてきています。会社に依存しない、専門性を活かした独立。その先には、想像以上にしなやかで、自立的な働き方が広がっています。

この記事では、なぜ電気主任技術者がフリーランスとしても活躍できるのか、その現実性と展望について深掘りしていきます。


電気主任技術者は、希少価値の高い国家資格

そもそも電気主任技術者とは、電気設備の安全を守るために必要不可欠な国家資格です。ビルや工場、再生可能エネルギー設備など、一定規模以上の電気設備には必ず選任が義務づけられています。

その責任の重さゆえ、資格取得は決して簡単ではなく、特に第三種(電験三種)でも合格率は平均10%前後と狭き門です。しかし、この難しさこそが“替えの効かない存在”であることの証でもあります。

資格を取得してしまえば、その希少性は市場価値としてしっかりと反映されます。特に再エネ・省エネ設備が増加する今、需要は年々高まる一方です。


フリーランス需要が高まる「外部選任」という働き方

通常、電気主任技術者は事業者が“選任”して社内に常駐させますが、一定の条件を満たせば“外部委託(外部選任)”することも可能です。

この外部選任こそ、フリーランスとして働くための主要なルートです。事業者は、必要な期間や業務内容だけ外部の電気主任技術者に業務を委託でき、技術者側も複数の契約を組み合わせて収入を得ることができます。

月に1〜2回の巡回点検や書類作成、技術的なアドバイス業務など、時間的制約の少ない仕事も多く、副業からのスタートや子育てとの両立にも向いています。


「自由」は、信頼から生まれる

とはいえ、ただ資格を持っているだけではフリーランスとして食べていくことは難しいのも事実です。選ばれる人には共通する“信頼の積み重ね”があります。

たとえば…

  • 報告書や保安業務の正確さ
  • 法令や保安規程に対する最新知識
  • お客さまの事業に寄り添う姿勢

会社の看板がなくなるからこそ、「この人に任せたい」と思ってもらえるようなコミュニケーション力や責任感が重要になります。逆に言えば、ここをクリアできれば、会社に属していたとき以上の自由度・報酬・やりがいを得られる可能性があるのです。


先行事例から見る“フリーランス成功者”の実像

実際、電験三種を取得した後、5〜10年の実務経験を積んで独立する人は増えています。中には、月に3〜4件の契約を掛け持ちして、月収70〜100万円に達している人もいます。

ある方は、もともと工場勤務の保全担当として働いていたところから独立。SNSやブログで情報発信し、相談・問い合わせが来るようになり、今では法人化して後進の育成にも力を入れています。

別の方は、定年退職後にフリーランスへ転向。「年齢に関係なく求められる仕事にやりがいを感じる」と語っていました。フリーランスになることは、キャリアの終点ではなく“再スタート”でもあるのです。


独立前に準備すべき3つの視点

では、実際にフリーランスとして働くには、どんな準備が必要なのでしょうか。

まず必要なのは、単なる資格以上の「経験」です。外部選任が可能となるには一定年数の実務経験が求められますし、点検業務や報告書作成における“現場感覚”が重要です。

次に、「営業力」。これは派手な売り込みという意味ではなく、誠実な提案力・相談対応力のこと。自分の技術をどんな現場にどう活かせるかを言語化できる力は、独立後の大きな武器になります。

そして、「リスク管理」。フリーランスは自由な反面、すべての責任を自分で背負います。保険加入や契約書の整備、信頼できる税理士や顧問の存在など、裏側の支えを整えておくことが、安心して前に進む土台になります。


自分らしく働く選択肢としての“フリーランス”

働き方が変わり、価値観も多様化する中で、「定年まで会社に勤める」以外の道を選ぶ人が増えています。電気主任技術者という専門職だからこそ、その技術と責任を“誰のために、どう使うか”を自分で選ぶことができます。

フリーランスの道は、決して華やかでも楽でもありません。ただ、それでも「自分の名前で仕事ができる喜び」や、「信頼されることの重みと誇り」を得たいと思ったとき、この選択肢は確かな希望になります。

自分の人生を“自分で選ぶ”。
その第一歩として、「フリーランス」という働き方を、心に置いてみてはいかがでしょうか。