資格を取ったけど「経験がない」あなたへ
電験三種に合格しても、主任技術者としての選任には原則3年の実務経験が必要です。「せっかく資格を取ったのに、働ける場所がない」と悩む方も少なくありません。この記事では、実務未経験からスタートして主任技術者としてキャリアを築くための現実的なステップと成功事例をご紹介します。
なぜ実務経験が必要なのか?制度の基本を理解する
主任技術者選任の要件とは
法令上、主任技術者として選任されるためには、電験の資格とあわせて実務経験(おおむね3年以上)が必要とされています。これは安全管理を担うための「実務力」が問われる制度的要請です。
実務経験とはどこまでを指すのか
電気設備の保守、点検、監視、操作などに関わる業務で、雇用形態や肩書きに関係なく“電気の仕事に従事していた”経験が実務に該当するケースがあります。自分の経歴が該当するかどうか、振り返ることが第一歩です。
実務未経験者が最初に目指すべき職場の選び方
実務を積ませてくれる企業を探す
「選任はできないけど、電気業務に従事させてもらえる」企業で経験を積むのが理想的です。たとえば、保安法人や設備管理会社、ビルメンテナンス業界などがその受け皿になります。
育成を前提とした若手採用枠に注目
最近では、資格保有者の高齢化により「若手未経験者を育てる」という動きも出ています。新卒や第二新卒扱いでの育成ポジションを狙うのも現実的なルートです。若いうちは色々とチャンスがあります。今の職場に迷ったら転職も検討しましょう。
未経験OKの求人を見極めるポイント
「実務経験不問」でも仕事内容は必ずチェック
「未経験OK」「資格だけで応募可能」と書いてあっても、実際には点検ではなく清掃や庶務業務だけのケースも。業務内容に“電気設備の管理”が含まれているかを必ず確認しましょう。
現場に出られる職種を優先する
経験の積み重ねが目的なので、点検、記録、立ち会いなど、現場で手を動かす仕事があるかどうかを重視する必要があります。書類作成メインの職種では経験扱いにならない可能性もあります。
実務経験を効率よく積む3つのルート
ビル管理・設備保全業務で基礎を習得
オフィスビルや商業施設での設備保全業務は、電気主任技術者の卵にとって実務経験を積みやすいフィールドです。多くの会社が教育制度を整えており、ステップアップにもつながります。
保安法人で巡回点検業務に従事する
保安法人では複数の施設を巡回し、点検・報告を行う業務が中心です。責任者でなくても補助的な業務に従事することで実務としてカウントされるケースもあります。
工場・製造業での電気担当としての経験
製造現場では、電動機や制御盤、配線トラブルの対応など、実務経験として認められやすい業務が多くあります。生産ラインの電気保守やPLCの監視なども実務に該当します。
未経験者がやっておくべきスキル強化
現場用語や帳票の読み書きに慣れる
技術的な知識よりも、現場で使われる言葉や報告書の書き方を学んでおくことで、早く仕事になじむことができます。見様見真似でも、最初の習得が重要です。これには毎日の積み重ねが大切ですから、日頃から空き時間に勉強をするなど、努力を積み重ねましょう。案外、先輩方も常に勉強をしています。
工具や測定器の扱い方に慣れておく
テスターや絶縁抵抗計といった基本的な計測器の使い方を事前に習得しておけば、現場でも安心です。動画や講座で基本を押さえておきましょう。
実務経験の証明方法と注意点
経験年数は「証明書」でカウントされる
主任技術者として選任されるには、勤務先からの「実務証明書」の提出が必要です。企業によっては発行に時間がかかるため、事前に確認しておくと安心です。
アルバイト・派遣でも実務になる可能性がある
雇用形態に関係なく、実務に該当する仕事であればカウント対象になります。ただし、契約内容や業務日報などの記録が必要になるケースもあるため、証拠は残しておきましょう。
未経験でも未来は切り開ける
資格はあるのに仕事がない――そんな状況は一時的なものです。正しいステップと情報さえあれば、実務未経験でも主任技術者としてのキャリアは必ず築けます。焦らず、ひとつひとつの経験を積み上げて、理想のキャリアをつかんでください。