かつては“男性の職場”というイメージが強かった電気主任技術者の仕事。しかし近年、再生可能エネルギー業界では女性電気主任技術者の活躍が目立ち始めています。
O&M(オペレーション&メンテナンス)分野においても、女性が活躍できる理由、そしてそれを支える環境の変化について詳しく見ていきましょう。

再エネO&M業務は“体力よりも知識と管理力”が求められる

O&M業務の多くは、
発電所の遠隔監視
日常点検
レポート作成
トラブル発生時の初動対応
といった、論理的思考と継続的な観察力が求められる仕事。
肉体的な負担は比較的少なく、むしろ丁寧で正確な対応や記録が求められる場面で女性技術者が高評価を得るケースも多く見られます。

女性電気主任技術者の増加と可能性

近年、電気主任技術者の世界でも女性の進出が徐々に進んでいます。実際、平成30年度には電気関係企業での女性比率が9.1%に達し、過去と比べても明らかに上昇傾向にあります。ただし、まだまだ少数派であり、電気工事士における女性比率は推定で2%程度とされています。

この背景には、教育段階での選択肢の偏りが影響しており、高校の電気学科への女性入学者は約3%、大学の電気通信工学系でも約8%と、そもそもの母数が少ないことがわかります。また、長時間労働や男性比率の高い現場環境も、業界への定着を難しくしている要因の一つです。

一方で、業界全体の人手不足を背景に、女性技術者の採用に力を入れる企業も増加中。中には新卒技術者の1割が女性という企業もあり、実際に現場で活躍する女性主任技術者も増えてきました。体力面への不安や孤独感といった声もあるものの、「十分に活躍できる仕事」という前向きな意見も多く聞かれています。

今後は、教育機関での働きかけや、女性が安心して働ける環境づくりを進めることで、より多くの女性がこの専門職にチャレンジし、活躍の場を広げていくと考えられます。

女性ロールモデルの存在が、次世代の背中を押す

「女性だから無理」と思っていた方が、現場で活躍する先輩の姿を見て、「私もできるかも」と一歩踏み出す──。
O&M業界では、こうしたロールモデルが各地で増えています。
なかには、
入社3年で主任技術者に選任、現場と家庭を両立しながら管理職へ昇進、といったキャリアを描いている方も。企業側もそうした社員の姿を積極的に社内外へ発信しています。

女性電気主任技術者が活躍できる場は、確実に広がっています。
「技術の仕事に興味がある」「社会貢献できる分野で働きたい」
そう思ったら、まずは再エネO&Mの現場を知ることから始めてみませんか?