電気主任技術者は、未経験からでも目指せる国家資格です。
実際に異業種から転職して活躍している人も多く、「文系出身だけど合格できた」「前職は営業だった」という声も珍しくありません。
この記事では、未経験から電気主任技術者に転職した方々の実例をもとに、成功の秘訣をお伝えします。

文系出身・30代後半での挑戦

「安定した仕事がしたい」という想いから一念発起

都内の広告代理店で営業職をしていたAさん(36歳)は、結婚と将来の生活を見据えて手に職をつけたいと考え、電験三種の取得を決意。理系の知識ゼロからスタートしましたが、通信講座と独学を併用し、1年半で合格。地元のビルメンテナンス会社に転職し、現在は電気設備の点検や報告書作成を担当しています。

「最初は意味がまったくわからない公式ばかりで不安だったけど、毎日コツコツ続けることが大事でした」と語っています。

地方でのUターン転職とキャリアの再構築

実務経験ゼロでも「資格があれば採用」だった

Bさん(29歳)は都市部のIT企業に勤務していましたが、地元で家族と暮らすためにUターン転職を決意。もともと機械いじりが好きだったことから、電気主任技術者に興味を持ち、3度目の受験で電験三種に合格。

地元の食品工場に転職し、受電設備や冷凍機器の保守を担当するようになりました。「未経験だったけど、地元では電験三種の人材が本当に足りていなかった。資格があるだけで面接の通過率が格段に上がった」と話しています。

異業種からでも、面接で“伝えるべきこと”

ポイントは「学ぶ姿勢」「安全意識」「協調性」

未経験からの転職では、「どれだけやる気があるか」「安全意識があるか」「チームで協力できるか」が重視されます。技術力はこれから身につければいいという企業も多く、面接では過去の経験をどう電気の仕事に活かせるかを伝えることが重要です。

たとえば、営業職であれば「お客様と信頼関係を築く力」、飲食業であれば「衛生や安全に対する意識」といった点がアピール材料になります。

転職後に「やっててよかった」と思うこと

安定感と“役に立っている実感”

実際に働き始めた人の多くが、「もっと早く資格を取ればよかった」と感じているそうです。特に、点検作業やトラブル対応を通じて「自分の判断で安全を守れた」と感じた瞬間に、大きなやりがいを感じるとの声が多く聞かれます。

また、景気に左右されにくいインフラ系の仕事であるため、「仕事がなくなる不安が少ない」「収入が安定した」といった生活面での安心感も転職理由としてよく挙がります。

失敗しないために知っておきたいこと

「資格があるだけ」では通用しない場面もある

一方で、転職してから「思っていたより体力が必要だった」「夜勤が想像以上にハードだった」という声もあります。特に工場勤務や当直がある職場では、生活リズムの変化に戸惑うことも。

また、電験三種はあくまで“スタートライン”であり、実務では現場ごとの設備やルールを一つひとつ覚えていく必要があります。入社後のOJTや周囲とのコミュニケーションが、長く続けるカギになります。