「国家資格だから安定して稼げそう」
「でも、実際はどれくらいもらえるの?」
そんな疑問を持つ20〜40代の方へ。この記事では、電気主任技術者の年収実態と、企業規模や働き方による差についてやさしく解説します。

今、電気主任技術者の“市場価値”が上がっている理由

再エネの普及と高齢化で「若手」が引っ張りだこに

電気主任技術者は、電気事業法で定められた「電気設備の保安責任者」。発電所や工場、ビルなどで法律上必ず配置が必要なポジション**です。

特に、太陽光発電や風力などの再生可能エネルギー(再エネ)施設の増加により、設備の数は年々右肩上がり。一方で、資格保有者の多くが40代後半〜60代以上に偏っており、若手人材の争奪戦が始まっています

この需給ギャップが、電気主任技術者の年収相場を底上げしている大きな要因です。

電気主任技術者の年収相場とは?

第三種でも「年収400〜600万円」が一般的

電気主任技術者の年収は、保有する種別(第1〜第3種)や実務経験、勤務地などにより変わりますが、以下が大まかな相場です。

種別年収目安(常勤)
第三種約400万〜600万円
第二種約500万〜700万円
第一種約600万〜800万円以上

特に再エネ関連や電気保安法人、インフラ系企業では、主任技術者の確保が急務のため、待遇が比較的高めに設定されています。

また、実務未経験からスタートした若手でも、3〜5年で年収500万を超えるケースも珍しくありません。

非常勤・個人契約なら「副業収入+α」も可能

電気主任技術者は常勤ではなく“外部選任”として契約を結ぶ働き方もあります。たとえば…

  • 太陽光発電所の点検・報告のみを月数回
  • 保安業務を複数施設で兼任

この場合、1施設あたり月3万〜10万円ほどの報酬が相場です。複数施設を担当すれば、月収20万〜40万円ほどの副業収入にもなります。

企業規模で変わる?勤務先による年収の差

大手インフラ企業:福利厚生+昇給あり

電力会社、鉄道会社、プラントメーカーなどでは、

  • 月給制+年2回の賞与
  • 家族手当、住宅手当などの福利厚生
  • 昇進・昇給制度あり

といった安定性・待遇面の手厚さが強み。20代後半〜30代で年収600万円以上も十分に可能です。ただし、中途採用の門戸は狭めで、経験や第二種以上の資格が求められることも。

再エネ系ベンチャー・中小企業:裁量・スピード重視

若手や未経験者にチャンスが多く、入社後に

  • 補助業務 → サブ選任 → 主任技術者
  • 現場の経験を積みながらステップアップ

といった実力重視の評価制度がある企業が多いのも特徴。年収水準は大手より若干低めなこともありますが、数年でポジションと収入が急上昇する例もあります

また、地方に拠点を持つ企業では家賃補助や引越支援などの制度も充実しており、生活コストを抑えながら働けるのもポイントです。

フリーランス・個人契約で働く選択肢も

「選任ビジネス」で年収1000万円超も

実は、電気主任技術者の中には「選任契約ビジネス」で独立している人もいます。たとえば、

  • 太陽光発電所を複数受託(1施設あたり月数万円)
  • 年間10〜20施設を管理
  • 書類提出や点検業務を効率化し、低稼働で高収益化

というモデルでは、年収800〜1000万円超も現実的です。

ただしこの場合、

  • 法律や点検・報告ルールの正確な理解
  • 自動車移動、繁忙期対応などの自己管理
  • 顧客との契約交渉・営業力

などが求められるため、ある程度の経験を積んだ後の選択肢として現実味が高まります。

年収を左右する「目に見えない要素」とは?

地域差・需要供給バランスもある

再エネ施設が多いエリア(例:関東圏、中部、九州、東北の一部)では、

  • 電気主任技術者の数が足りない
  • 非常勤でも年収が高騰しやすい
  • 地方企業が若手を積極採用

といった構造があり、都市部よりも地方のほうが稼げることもあります。

実務経験の「質」

単に年数を重ねただけでなく、

  • どんな設備を扱ったか
  • どの程度の規模・電圧帯だったか
  • トラブル対応の実績があるか

といった“経験の中身”が年収やキャリアパスに大きく影響します。これらは履歴書や面接でも重要視されるため、経験の可視化・言語化ができると有利です。

資格+実務経験で「伸びるキャリア」を手に

電気主任技術者の年収は、

  • 資格の種別(第3種〜第1種)
  • 働き方(常勤/非常勤/個人契約)
  • 勤務先の規模や地域
  • 実務経験の質

によって大きく変わります。

ただ共通して言えるのは、どのフェーズでも安定した需要があり、20代からでも着実に収入を伸ばせる国家資格だということ。

「再エネに関わりたい」「地方で安定して働きたい」「資格を活かして自由に働きたい」
そんな希望をもつ人にとって、電気主任技術者は“人生を自分で設計するための手段”になり得ます。

まずは、年収だけでなく「どんな働き方をしたいか」から考えてみませんか?