MEMBER
今回のプロジェクトメンバーを
教えてください。
N.K.
もともとこのチームで屋上太陽光発電所のプロジェクトやアセットマネジメント業務に携わっていました。今回蓄電所事業を始めるにあたり、同じチームで担当することになったんです。私は室長に任命され、全体を統括しています。
K.K.
もともとは太陽光発電所のシステム回りの構築や運用に携わっていました。今回もデータサイエンティストとしてシステム回りを担当しています。
M.I.
私はもともとアセットマネジメントを担当していました。今回の蓄電所事業でもアセットマネジメントを担当しています。
Y.K.
私は、K.K.と同じデータサイエンティストとして参加しています。今回のプロジェクトチームにはあと6名が属していて、全10名で対応しています。蓄電所の運用はこの4人で対応しており、N.K.とM.I.はプロジェクトの管理や省庁への対応、私とK.K.は稼働の最適化、たとえば機械学習モデルによる市場価格の予測や充放電ロジックを担当しています。

今回のプロジェクトである蓄電所
事業について教えてください。
今回のプロジェクトである
蓄電所事業について
教えてください。
N.K.
少し専門的な話にはなりますが、電気の世界は30分毎に価格が変化しております。ドルや金などと同じような電気に特化した市場があり、そこで取引されています。蓄電所は電気の安い時間に充電し、高い時間に放電することで利益を得られます。
ただ、太陽光発電所が世の中に増えると、昼間だけ電気がたくさん生まれるため、現在電気が余ってしまうことがあります。余ってしまうと需要と供給のバランスが崩れてしまうため、余るくらいなら太陽光発電所を止めてくださいという動きが今の日本で起きてしまっているのが現状です。
せっかくの再生可能エネルギーである太陽光発電が余るからとの理由で止めてしまうのはもったいないことと考え、余ってしまう時間帯に蓄電所に充電することで、少しでも多くの太陽光発電所が稼働できるようになります。
また、今回の「蓄電所の自社アグリゲーションに挑む」のテーマに出てくるアグリゲーションという言葉ですが、太陽光発電所や蓄電所などを複数束ねて制御して、電気を市場に売買することを指します。
Y.K.
海外ではすでに先行していますが、日本ではまだ実例は少ないんです。おそらく10から20例の間ぐらいでしょうか。
当社でも初めての事業で、今回は記念すべき第一号になります。蓄電所を埼玉県日高市に設置し、2025年3月から運用を開始しています。
K.K.
将来性が高いのが蓄電所ビジネスの魅力ですね。日本としても蓄電所を増やす方向で進んでおり、重要なプロジェクトのひとつです。
蓄電所は再エネ事業を推進するうえで必要不可欠だと思うので、ここに携われるのは楽しみだし、有意義な経験だと思っています。
M.I.
蓄電所に関わる知見がまだ社内になく、自分たちで関係各所に確認したり、不具合が起きたときに一から自分で調べなくてはいけなかったりなど大変な部分もあります。でも、そういった部分も楽しいし、新鮮な気持ちで取り組めています。

蓄電所を持つ強みは?
N.K.
自分たちで蓄電所をつくって、運用するまでを一貫体制で、しかも1社でやっているところはほとんどないんです。あえてゼロからスタートした分、苦労も多かったですね。
しかし、蓄電所があるということはものすごく強みになっています。どこかの会社に電気を売る際、夜欲しいという会社もあれば、昼欲しいという会社もあります。当社は太陽光発電所はたくさん持っているので昼の電気は売ることができるのですが、夜の電気は売ることができない。そういうときに、昼の電気を貯めておいて売ることができるのは、調整力として大事なものだなと思います。
Y.K.
実際に電気を売るということも始まっていますし、順調に進んでいます。
M.I.
蓄電所については、今後もほかのエリアでの設置も検討されています。どんどん拡大していく予定です。

今後の課題、そしてビジョンは?
今後の課題、
そしてビジョンは?
K.K.
いまは卸電力取引所※1で取引しているのですが、これからは当社がまだ参入していない需給調整市場※2の参入に向けて動いています。これにより利益を最大化するのが目標です。さらに今後蓄電所が増えていったときに予測管理がますます重要になりますし、そういうこともやっていかなければいけないなと思っています。
Y.K.
そうですね。あと、太陽光発電所のなかに蓄電所を置いて、直接電気を貯めるという方法もあるんです。市場からの要請に従って貯めた電気を電力系統(電力を各地に送るための送電網・配電網)に放電するなど上手に運用することで利益を上げることができます。そういうことも検討されています。
M.I.
私は、日本でやっている蓄電所ビジネスが上手くいけば、今後海外でも通用するようになるのかなと思っています。それをどんどん広げていければうれしいですね。
N.K.
運用後の課題は、予測モデルの監視・精度向上による市場価格の変動リスクへの対応、蓄電所の劣化の定量的モニタリングと最適充放電戦略の見直しなど多岐に及びます。
しかし、蓄電所事業は当社でも今後拡大の必要がある重要なビジネス。まずは日本規模で拡大させていく必要のある使命感を持った事業だと思っています。
※1 JEPX(日本卸電力取引所:Japan Electric Power Exchange)は、2003年に設立された日本国内で唯一の電力を取引できる市場です。 発電事業者と小売事業者間の電力売買を仲介し、卸電力市場の運営を行っています。
※2 需給調整市場は、電力の需給バランスをリアルタイムで調整するために2021年4月に開設された市場です。企業や電力事業者が調整力を取引する場として機能しています。

プロジェクト概要
大型の蓄電所を電力系統に直接接続することで、蓄電所の特性を活かし、電力需給バランスの安定化、調整力の供出および再生可能エネルギーの導入加速に寄与することを目的としています。
蓄電所を埼玉県日高市に設置し、当社関連会社である合同会社RJキャピタル2社が当蓄電所を開発・所有し、当社がアグリゲーションを行っています。また、日本工営エナジーソリューションズ株式会社が当蓄電所の施工を行い、2024年9月に着工。2025年3月に運用を開始しています。

